腱鞘炎について

この症状は、筋肉や関節を酷使する事によって発症します。起こしやすい職業としては、大工、キーボード操作、機械の組み立て作業、理容・美容師、ギタリスト、ペンを持つ仕事など様々な手作業があります。スポーツでは、テニス・卓球・ボーリングなどが、そのようになり易いのです。

この事からお分りのように同一部位の繰り返し使用過多による疲労の蓄積が原因であると言えましょう。その結果、筋肉・スジ等が萎縮硬直化し、腫れたり炎症を起こした状態なのです。例えば、理容師は、ハサミでカット作業を繰り返します。右利きの方は、右手の小指から肘にかけての筋肉やスジが休む暇なく繰り返しの動作を続けている為にその部分が疲労のために炎症をきたしてようになるのです。又、同一部位の繰り返し作業でなく、体の一部を一定の位置に保つため筋肉を緊張させる仕事でも同様の症状になります。例えば、食事の配膳仕事で、お盆に料理が何種類かのっており、忙しいときには、両手に2つのお盆を持たなければいけないので、それで手首を痛めるのです。無理のある静止状態を保つ事も損傷の原因になります。

私がこれまで診た中では、和裁を営む高齢の方で5指が曲がりきっていて普通に開くことが出来ない方がいました。これは指関節の腱鞘炎で、そこまでいくと自分で改善することは難しいのですが、軽度の場合には、例えば両手を組んでひっくり返して逆に反らしたり、一本だけの場合はその一本を丁寧に逆に反らすなど、普段の仕事で使うのとは逆方向動作を意識して行うなどの工夫が必要となりましょう。

子育て中のお母さんも育児の間、肘や腕全体に痛みが走ったりするなど、腱鞘炎と同様の症状が出たりします。私も多忙な日が続いたりすると、指の動きが鈍くなりコーヒーカップから指を離したつもりが離れていなくてカップを落としたりすることがあります。
この症状は、比較的早期に改善結果がでます。運のいい方は2~3回の治療で嘘のように軽くなります。ひじ関節周りの腱鞘炎の治療法は、肩周りから首筋そして腕全体をやんわりとほぐし、次いで発症部位のほぐしとなります。治療の過程において厳しい痛みを伴うこともありますが、しかしながら治療終了後は嘘のように改善効果がでます。この種症状の改善は意外と早いのです。