旬を食する(1)

旬のものは、量もたくさん取れるし、味もよく、四季折々の太陽や月のエネルギーをたっぷり含んでいますし、土壌からの栄養成分も充満しています。人間も自然の中の一部である限り、自然のリズムに合った食物を体に入れることが生命力を高める食べ方とされてきました。また、季節ごとに変わる食材は、私たちの生活にメリハリをつけ、季節感を感じさせ、日本の食文化の基礎となっています。

1、旬の意味を知る。
「旬のもの」とは、季節の最盛期の食べ物の意味。旬という語源には、もともと10日間という意味があり、昔から「走り10日、旬の10日、名残の10日」と、食材の盛りを追って季節の味を楽しんできました。しかし、最近では四季を問わずに店頭にはさまざまな食材が並んでいますから、何が旬なのか、季節ごとに体にどんなものを補えば良いのか、体は何を欲しているのかを考える機会が少なくなってきています。植物も、動物も、自分の身体の中をよく熟知していて、それに合わせた土地に住み、生活をしているということなのです。大地のエネルギーが生み出す食べ物には、その時期に体を整えるために必要な成分が実に巧妙に分配されています。季節により人間が本能的に要求する味が、季節ごとの旬の味の特徴とピッタリ一致しているのも不思議なところです。