自然界の調和(1)
自然界に築かれている絶妙のバランスを破壊するのは、いつも人間です。こういう話が中国にあります。
毛沢東が農村の視察に行くと刈り取って干してある稲にものすごい数のスズメがたかってそれを食べているのが見えました。毛沢東はスズメをなくする事で米の収穫量の増大を図ろうとし、翌年、中国全土の人民に「スズメ撃退作戦」を指令しました。
中国人民が総出で竹竿や木の棒を持って追い回したところ、羽が小さくて長時間飛び続ける事の出来ないスズメたちは次々と力尽きて、落ちていきます。村々にスズメの山ができていきました。スズメは食材としても美味しいもので、一石二鳥と皆は喜びました。
ところが、翌年歴史に残る大飢饉が中国全土を襲いました。たくさんの餓死者がでる悲惨な状況となりました。スズメは確かに秋になると、干している稲に群がってそれをついばんでいたわけですが、これは人間でいえば盆や正月と同じようなもので、普段から稲を食べているのではありません。1年の大部分は草むらで虫を獲って食べていたわけです。虫が普段の主食で、害虫をたくさん食べてくれていたわけです。いつもスズメが虫の大発生を抑えてくれていたわけですから「10」の収穫があればそのお礼に「1」くらいは、さしあげてもよかったのです。
ところがその「1」を惜しんで、スズメの数を減らしてしまったために害虫が大発生して、農作物が全滅してしまったのです。「10」であるはずの収穫が殆ど「0」になってしまいました。このことは長い事隠されていましたが、開放政策によってこの情報が少しづつ表にでるようになりました。この時の餓死者は数十万から数百万とも言われています。自然界の生態系は助け合いや支え合いの微妙なバランスの上に成り立っているのです。
--- ここまで、手元の小冊子から引用 --- 続く