自然界の調和

自然界に築かれている絶妙のバランスを破壊するのは、いつも人間です。こういう話が中国にあります。
毛沢東が農村の視察に行くと刈り取って干してある稲にものすごい数のスズメがたかってそれを食べているのが見えました。毛沢東はスズメをなくする事で米の収穫量の増大を図ろうとし、翌年、中国全土の人民に「スズメ撃退作戦」を指令しました。中国人民が総出で竹竿や木の棒を持って追い回したところ、羽が小さくて長時間飛び続ける事の出来ないスズメたちは次々と力尽きて、落ちていきます。村々にスズメの山ができていきました。スズメは食材としても美味しいもので、一石二鳥と皆は喜びました。

ところが、翌年歴史に残る大飢饉が中国全土を襲いました。たくさんの餓死者がでる悲惨な状況となりました。スズメは確かに秋になると、干している稲に群がってそれをついばんでいたわけですが、これは人間でいえば盆や正月と同じようなもので、普段から稲を食べているのではありません。1年の大部分は草むらで虫を獲って食べていたわけです。虫が普段の主食で、害虫をたくさん食べてくれていたわけです。いつもスズメが虫の大発生を抑えてくれていたわけですから「10」の収穫があればそのお礼に「1」くらいは、さしあげてもよかったのです。ところがその「1」を惜しんで、スズメの数を減らしてしまったために害虫が大発生して、農作物が全滅してしまったのです。「10」であるはずの収穫が殆ど「0」になってしまいました。このことは長い事隠されていましたが、開放政策によってこの情報が少しづつ表にでるようになりました。この時の餓死者は数十万から数百万とも言われています。自然界の生態系は助け合いや支え合いの微妙なバランスの上に成り立っているのです。

--- ここまで、手元の小冊子から引用 ---

自然界にはこうしたバランスの例をたくさん見ることがあります。全ての生物は、本来絶妙なバランスの中で存在し、自然な均衡を保っているのです。そしてその絶妙なバランスを破壊するのは、いつも人間なのです。

20年ほど前から、主に南房総に生息しているイノシシなどの生息域が北上していると言われていました。特にここへ来て猪ブタ、イノシシが市原地域にも出没し農作物に多大な被害をもたらしています。これは人間が房総横断道など大きな道路を造ったことにより、動物たちは生息域が大きく制限され、生きて子孫を残すためにやむを得ず農作物に手をつけたり、生息域を広げざるを得ないということでしょう。人間の都合ばかりを考えないで、自然界のバランスを真面目に考えて、開発と保全をしっかりとお願いしたいところです。

では、私たちの健康面はどうなのでしょう。よく聞くように人の身体は小宇宙と言われています。小宇宙ですから、健康を害するような悪さをするヤツも多少はいて良いはずですし、体内にウイルスが、いてもおかしくはありません。そういった健康を害するウイルスがいてこそ、免疫たちも士気高らかに活動し、その役割を果たしていることになります。これも立派な体内バランスの一例と言えるでしょう。

人間は空気を吸って生きており、さらに生きるのに必要な水や食べ物は、全て自然からいただいています。人間が生きていられるのは、水・空気・太陽・植物・生き物など自然のおかげです。自然が私たちの命を育んでくれているのです。人間は自然のおかげで幸せに生きていることを理解し、自然界からの恵みに感謝しながら日々を送りたいものです。