旬を食する(2)

2、旬の食べものは生命力を高める酵素やビタミンが豊富 日本の風土の特色は、四季があることです。季節ごとの食材があり、それを上手に食べることで身体のバランスを整え、健康を保ってきました。冬の間、土中で眠っていた種が次々と芽を出すように、春は動植物が活動を始める季節です。山菜や野草がおいしくなる春には「にがみを盛れ」と言われてきました。これは、芽吹く時期には、にがみのあるものを食べ、冬の間に体内にたまった老廃物を出して、ビタミンやミネラルを摂り入れようという知恵なのです。 また、春の陽光をふんだんに浴びて育った春野菜には、たくさんの葉緑素とカロチノイドなど抗酸化力のある色素が含まれています。生命力あふれる旬のものが持つ力が、私たちの体に新しい細胞を作り出します。旬の果物や野菜、山菜に含まれる栄養素の特徴として、豊富なビタミンCが挙げられます。これは、草木が芽生えるとき、急速に細胞分裂する眼の部分に大量にビタミンCが発生するからです。また、細胞分裂が行われる際には、あらゆる生命活動に関与する酵素の活動も活発になります。生命力にあふれた旬の食べ物には、人間の生命を維持するための重要な代謝酵素や消化酵素などのさまざまな酵素が豊富に含まれているのです。